ゲドを読む。
これは、糸井重里氏発案のDVD発売キャンペーンらしいのですが、内容が実に興味深かったです。
『ゲド戦記の愉しみ方』と題された、中沢新一氏による原作の解説に始まり、原作内の名台詞集が続きます。
後を受けるのは、河合隼雄氏による原作の分析。
次が、翻訳者へのインタビュー。
直接映画の内容に踏み込んでいるのは、巻末にある監督へのインタビューのみでした。
原作へのリスペクト、もとい原作好きへの配慮がうかがえます。
この戦略はズルイ、(いや認めます)上手いと思いました。
正直な話。
この映画は「原作ファンの期待に応えた」とは言いがたかったです。
(むしろ・・・orz)
なので、真っ正直な広告では、売上に関して勝算が見込めなかったと思うんです。
そこで取られたのが、今回のフリーペーパー作戦。
まずアイデアで釣りあげ、ペーパーの内容で映画を受け入れるだけの下地を作る戦略、なんじゃないかな。
このペーパー、もとい本を
最初から最後まで読むと、「原作が好きなのは、自分と一緒なんだね」的な親近感が多少湧いてきます。
更に「映画の、あの解釈もアリなのかな!?」となり、抱いていた拒否反応を若干緩めてくれます。
攻城戦で例えると、この作品に対して感じていた溝=堀は、意外と埋まった感じ。
「戦略的勝利」ってフレーズが頭をよぎります。
ただ、問題が一点。
それが「果たしてどれだけの人間が、全てに目を通してくれるか?」です。
100万部刷った中の何割が読者の手元に届いて、その中の何パーセントが最後まで見てくれるのか分かりません。
おそらく相当数が処分されてしまうんじゃないかと推察します。
(都心では入手が難しくても、首都圏郊外の店では結構余ってますね)
*1:ここでの配布は「手渡し」の意