クイックハルト

選択を任せるという事

(以下、ネタバレ含む)
まずは、こちらをご覧ください。

クイックハルト 一番手痛いレビューAstronaut

これは「クイックハルト」の感想に対して、作者の郁雄/吉武さんからいただいた反応です(^^;。


「なる程なぁ」と納得したのは、次の部分。

  • 言いたいことを言えと主張したのは主人公自身であること
    • ゆえにどんな結論でも甘んじて受けなければならない
  • ヒロインの「普通であること」に対するこだわり
    • 説得し切れないうちは、非日常手段をとってまで一緒に居ることは出来ない



昨日の段階では、主人公を通して自身のハッピーエンドだけを一点突破な目線で見ていたので、上記の点は忘れてましたね(爆)。
これを踏まえると、また違った見方が出来そうな気がしたので再読してみましたよ。



聞き分けが良いのは間違いないけれど、むしろ。
「主人公は、読み間違えた」と、言ったほうが良いような気がしてきました。

  • 「言いたい事を言え」と主張した段階で、ヒロインの決意のほどを見切れなかったのが、いわば敗因。
  • 我慢は体に良くないよ?、的な、真剣だけど易しい気持ちで言ったはずなのに・・・。
  • 言うなれば、水道すら止められた友人に「お金(飯代くらい)貸そうか?」と聞いたら、本格的な融資を頼まれてしまったようなもので、かなりの不意打ち。
  • だからこそ真意を理解するのが遅れ、気づいたときには後手後手に。

 
結局のところ。
「ヒロインの方が一歩先を見ていた」そう理解した方が正確なのかもしれませぬ。
 
もう一点。
ヒロインが、どうしてそこまで「普通であること」にこだわるのか?
これはついては、「それ」のコンプレックスなんだと理解しましたよ(笑)。
主人公も「・・・かなり好きデス(280頁)」とか言ってる場合じゃねーのです。
(どっちかって言ったら、「それ」は敵なんだってばw)
「それも悪くないな(280頁)」って言葉は、いまだネガティブ要素であることの証左で、それを好みだと認めることは見切るための口実になりうるんですから。
けど、嘘はつけない主人公ですからね(^^;。
誠実さにつけこまれたカタチになってまったのですな。



してみると「ヒロインにしてやられる主人公」ってのが、理解出来てきます。
 
フェミニストな視点で考えると、女の子を不安にさせた時点で有罪なのですが、これで切って捨てるのは忍びない(笑)。
他者に(自分の一生を左右しかねない程の)選択を任せるには勇気が要るし、
自分にとって、痛みを伴う結果を受け入れるのには、覚悟が要ります。
そのリスクを背負った行為*1には、敬意を表すのが流儀です。
なので「優しいだけでなく、自分も大事にしましょうね」と、まずは応援するとしますです!
 

【追記】

世界の敵は、何を嘆いているんでしょう?
・・・どこかに帰れないとか、そういう類のものかな?
 

*1:今回の場合、主人公だけに限りませんが(^^;。