陰陽ノ京(5)

陰陽ノ京〈巻の5〉 (電撃文庫)
作者:渡瀬草一郎
挿絵:洒野渉(saino wataru
 
陰陽道の名門「賀茂家」の次男ながら文章道に進んだ変わり者の青年と、
幼い頃、彼の教導を受けた「やんごとないけれど」子供のような姫君のお話。
 
色恋沙汰とは縁遠い二人の微笑ましい仲睦まじさが最大の魅力のシリーズです。
その一点においては、彼らの弟妹的存在の二人の方が先んじているのもまた楽しです。
気づけば四年の空白らしいのですが、読み出すとそんな事は埒外に消えてゆきました(笑)。
今回も安心して楽しめましたよ♪
 
今回の舞台は、作品のキーパーソンでもある安倍晴明の屋敷。
他の陰陽師モノだと空前絶後の絶対者として描かれる事の多い晴明ですが、この作品では限りなく人間くさいです。
同時に驚かされるのが、この作品内での賀茂家の力量の確かさ。
晴明の師匠筋なので、当然っちゃあ当然ですが、これだけ賀茂家が活躍するのは他に、コバルトの「姫神さま」シリーズくらいしか知りません。
一風変わった晴明モノを探してる方には、この点だけでもオススメ出来ます。
 
(以下、若干ネタバレ)
個人的山場は、やっぱり終章。になるのかな!?
読んでいて、うしおととらの「ラーマとその姉とシャガクシャ」のエピソードが思い出されて仕方が無かったです。
 

でも・・・・・・もう一人の、母様――(261頁)

スルリと読めた涼作でした。