ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ

ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ (自腹文庫)
作者:ブルボン小林
 
再版がかかったばかりのようで、書店でも目立つ位置にありました。
ちょうどQMAのクイズで、「ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ」というフレーズを見かけたトコロだったので、買って見た次第(笑)。

元々は雑誌の連載コラムだったそうな。
 

感想

レトロゲームのレビューが主なのですが、その切り口が面白いです。

例えば

1979年のアクションゲーム「平安京エイリアン*1」を取り上げた回では「何故舞台が平安京なのか」を次のように考察しています。
 

【「平安京エイリアン」はなぜ平安京なのか】

  • マップである「迷路が碁盤の目状」だからだろう
    • ではなぜ碁盤の目状なのか
      • 当時は、迷路を描くこと自体が難しかったからだろう

 
しかし
 

  • 最初から「平安京」ではなかったはずだ
    • 「碁盤の目しか描けません」がありきに違いない
      • だったら「平安京でいこう」という流れになったのだろう

 
直感の骨子に、理屈で肉付けしていく手法が説得力をもっています。
このゲームを知らない自分ですら、「そうに違いない」と確信してまいました(笑)。
 

この本では

全部で100作以上のゲームを話題にしているのですが、その攻略法を教えてくれる訳ではありません。
むしろ、楽しみ方を伝えてくれる感じ、ですね。

多分作者は、結果(=ゴール)だけではなく、過程(=ルート)にも価値を見出してる人なんだろなと思います。
 
(これは勝手な思い込みですが、旅行での一番の楽しみは「目的地に向かうまでの道中」ってタイプじゃなかろうかとw)
 
それがこういった顛末記の形式になると表に出てきやすいんでしょーね。
 

なぜか巻末には

芥川賞作家、長嶋有さんの小編が収められています。



ブルボン小林を先に知ったのが幸か不幸かは、受賞作をチェックしてからになるんだろうなぁw

*1:検非違使となって月下の朱雀大路を駆ける」ゲーム、とのこと(本文18頁による)。