空とタマ

[rakuten:book:11876488:image]
作者:鈴木大輔
挿絵:原建人
 
読もうと思ったきっかけは、ラノサイ杯絡みで「こちらの感想」を目にしたからです。
大体2ヶ月周期で訪れるゲーム熱のお陰で活字から遠ざかる時期があるのですが(^^;、この作品を読んで改めて思いました。



読書は、止められませぬ〜。

内容

一夜の家出。
少年が当面の我が家と決め込んだ廃倉庫には、一人の先客がいました。
それに気付かず「はしゃぎすぎた」彼を、その人物がとがめます。
 
後発の礼儀として、下手に出る彼でしたが相手の無愛想さにイライラが募るばかり。
そして遂に・・・。
居場所を賭けた闘争が始まります。
 
そしてまた。
 
予期せぬ闖入者も現われ、去ります。
(厄介な状況を置き土産にして)
 
迎えたピンチを前に、ふたりの距離は急速に縮まっていき・・・。
 

感想

出だしの一人称で、「感情移入出来なかったらキツいかも」と思ってたら案の定。
最初の反撃を食らうまでの流れ。
これは「ちょっと一人よがりの結果かも」と苦笑したりもしました。
 
ところがスグに「陰湿さとは無縁」だということに気付きます。
荒っぽいのは確かだけれど、粘度は低くてサラッとしているんですな。
なので、嫌悪感は皆無。
(○爆弾も陰湿さと言うよりは、稚気の発露かとw)
 
むしろ。
倒れても立ち上がるボクサーのようで、その闘魂精神には拍手を送りたくなってきます。
(まだイケルのかとw)
だから、章の表記が「ROUND」なのかと思ったりも。
 
中盤の論理ゲーム的やりとりも良いですね♪
前提からして間違ってたトコロとか、
それに立脚して攻めた挙句、惨敗するトコロとかw。
 
そして何よりも。
想定外の答えに、納得出来るだけのきちんとした理由があったトコロが。
(まさに「回答不能」、です)
 

あんたがあたしよりツイてないなら、言うこと聞いてあげる(137頁)

上はラストまで読み切った後、もう一度読み返した時に一番印象的だった台詞。
あの場所に居た意味と、譲らなかった理由を考えると、とても重い言葉だったんだと。
 
それに対する彼の答えが、
「偶然では片付けたくない奇跡的な出会い」だった事が伝わってくるラストは衝撃的でした。
ノックアウトです(T^T)。
 
未来は不確定であることを信じたくなる作品でした。
 

追記:類似作(ネタバレになりかねないので反転しときます)

読後感は「フレイアになりたい」に近いかな!?。→感想
あれは「苦かった(過去形) 」のですが、こっちは「ホロ苦い」感じがします。