邪眼は月輪に飛ぶ
- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: コミック
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湿気に弱そうな装丁もひっくるめて「渋い」の一語です。
感想
毒気を抜かれるほどあっさりと命が奪われるのですが、読み進めていくうちに伝えたかったのは「命をつなぐことの尊さ」であることに気づきます。
それを逆説的に浮き彫りにしていくストーリーに胸が熱くなりました。
なかでも。
不器用な父親が家族を思う気持ちが、ズンと胸に迫ります。
繰り返すうわ言のシーンにも視界が滲んだのですが、極めつけはやっぱり終盤ですね。
特に下のシーン(一部反転しときます)。
おめえ、なんでそれが、わかった・・・・・・?
そんなのわかるわ。
あたし、
とうちゃんの娘だもんな。
(162頁:鵜平と輪)
これをうけて畳み掛ける決め台詞の格好良さったらなかったですよ。
「聞いた子供が安心して眠れるように、むかしばなしの敵役は必ず討たれる」
その安心感を求めるから同じ話を繰り返し聞きたがるのだ、と昨日付の某紙で読んだのですが、だとするならこの作品は正しく「むかしばなし」なんじゃないかと思います。
蛇足
・巻末の「特別感謝」のメンバー、個人的にはエライ豪華で吹いたw*1