戦う司書と荒縄の姫君

戦う司書と荒縄の姫君 (スーパーダッシュ文庫)*1
作者:山形石雄
挿絵:前嶋重機
  

印象

一言でいうなら「バタフライ効果」の話になるのかな?
本格的に神話めいてきました。
 

感想

少年漫画の王道に慣れきった思考が常時働いている身なので、”どこかでひょっこり”ってのがあると妄信しつつ読んでました。
このお陰で悲報によるファーストインパクトのショックは、さほど無かったです。
 
が。
怪物の追跡調査やら、「本」の出現によって逃げ道は無くなり、本能的に避けていた現実を直視せざるをえず・・・。
やっと「何で?」という疑念を持つに至りました。
(ただ。この段階でも、持っていたのは事実を知りたいという欲求だけでしたね)
 
そして、これに答えるかのように状況が明かされていくうち、あまりの”らしさ”に思わず苦笑。
”それじゃぁ仕方がない”と、現実を静かに受け入れることが出来ました。
 
なので。
寂しさはあっても、悲しいとか、まして作者への怒りなんてものは無かったです。
某シリーズでの同様のシーンにどうしても納得がいかず、こっそりと記事を修正したこともあっただけに、すこぶる冷静に読みきれたのが、自分でも意外でした。
 
思うに。
シリーズ全体の流れからすれば自然だとしても、今回のことは作者にとって賭けだったんじゃないかと。
けれど、読了前後の”彼女の存在感”を比べてみると、圧倒的に読後が勝ります。
(某書から言葉を借りるなら「みえないんらけろ、いるんらよ」に・・・)
自称世界の主だった彼女が、自他共に認める神様になっちゃったような印象すら持ちました。
何かしてやられた感じがして、賭けは自分の負けですね。 
 
で、まぁこれで。
一区切りついた心地になったので、もしかしてシリーズ完結なのかとも。
司書見習いの成長を描くシリーズとして捉えているところもあったので、その先がない状態で決着がついたなら、物語も終わるのかと。
 
けれどまだ、根源的な謎は残ってましたね。
一度リセットされた感もあって、この先どのように転がるのか全く分からなくなってきましたが、その分期待が膨らみます。
続きが本当に楽しみです。