樹海人魚

樹海人魚 (ガガガ文庫)*1
作者:中村九郎
挿絵:羽戸らみ
 

内容

強大な力で街を破壊し、人を殺す不死身の存在”人魚”
人はその怪物を捕らえ従え、”歌い手”と呼び飼い慣らし、同類退治の道具としていた。
”歌い手”を操り人魚を狩る”指揮者”森実ミツオは何をやっても冴えないグズの少年。
しかし、記憶をなくした”歌い手”霙との出会いが、彼を変える。

感想

比較対象がアリフレロしかなので、確かな事は言えないのですが一言、分かり易くなってる気がします。
そのアリフレロの感想には「悪夢のようなストーリー」だと書いた覚えがありますが、この樹海人魚で感じたのはいつの間にかズルズルと地滑り、何もかもがスライド(!?)する感覚。
 

  • 何時の間にか、スリ替わっていたヒロイン
  • 明確だった主従「歌い手と指揮者」の境界を、あっさりと超越する展開

そして何より

  • 空に落下するという矛盾

 
作中、小道具にルービックキューブが出てくるんですが、それを使って例えると・・・。
今まで見ていた面がズルッと滑って、いつの間にか違う像を見せられたような感じ。
文章が歪に繋がってる箇所が幾つもあって、その都度、戸惑うことしきり。
(もしかしたら、主題が主題*2だからなのかもと思ったりも・・・)
 

それでも

今作は、話の流れが見えます!
(一応、主人公の視点が一貫してるから)
 
事件が起こり、その謎を追い、力不足を露呈しつつも前に進む主人公に共感出来ます。
いつの間にかヒロインが霙にシフトした展開だけは、正直受け入れ難かったのですが「あなたは何度でも・・・・・・」で始まるラストフレーズが綺麗だったので、ギリギリ我慢。 

みんな、バービーを見捨てていく・・・・・・
(270頁)

こんな寂しい想いをさせてんだから、幸せにならないと承知しないのでありますよ。てやんでぇ、ばーろーめっ(T^T)