遠征王シリーズ
1巻:ジャック・ザ・ルビー―遠征王と双刀の騎士 (角川ビーンズ文庫)
剣の腕をたよりに騎士を目指すジャック=グレモロンが、街の酒場で出会った青年オリエはとんでもないタラシ。
なりゆきまかせにコンビを組んだ武術大会で、勝利を手にしたふたりだったが・・・・・気づけばなぜか女城守の愛人に!?
のちに遠征王と呼ばれた男装の女王アイオリア一世と、双刀の剣士―敵の返り血で朱と染まる姿から《ジャック・ザ・ルビー》と渾名された王騎士の、これがはじまりの物語。
(裏表紙より)
感想
一切合財を「わたしは王だよ」の一言で許し、祝福するアイオリアの包容力にシビれます。
でも、一番お気に入りのフレーズは、オリエがかつて聞いたという銀の人の言葉。
――あなたがだれと結婚しようと、じぶんはいっしょうあなたが好きだから、かまわない――
(61頁)
ひらがなの表現力には限界もあるけれど、それでしか表しきれない健気さってのがありますね。
自分は、この段階で銀の人・ナリス推しになりましたです。
2巻:エルゼリオ―遠征王と薔薇の騎士 (角川ビーンズ文庫)
男装の女王アイオリア一世の、愛妾の席がひとつ空いた。
さっそく栄誉ある後宮《花園》入りを賭け、国をあげての美女探しが始まり、お祭り好きの王様も政務を放りだして、みずからスカウトに出かけてしまった。
ところがその旅先で愛妾候補として白羽の矢が立ったのは、王騎士ジャック=グレモロンの相棒、槍使いゲイリー=オリンザの娘で・・・・・・!?
3巻:ドラゴンの角―遠征王と片翼の女王 (角川ビーンズ文庫)
遠征王アイオリア最愛の”いとこどの”こと女大公ゲルトルードが突如、倒錯青年貴族との結婚を宣言。
猛反対のアイオリアはこの結婚を潰すべく暗躍(?)するうち、神聖シングレオ騎士団秘蔵の宝剣エヴァリオットをついうっかりと抜いてしまう。
そんな折、宮廷ではアイオリアを偽王とする声が高まっていた。
「あれは王家の血を引いておらぬ」・・・・・・出生の秘密ゆえ生命の危機に瀕したアイオリアを前に、ゲルトルードは――!?
前巻で垣間見せたアイオリアの弱さ。
それが痛いくらい強調される試練の巻。
これまで見えていた一面とのギャップが余りにも大きすぎて、同一人物とは思えないほどでした。
ただもし。
ナリスが見てきたオリエの姿がこれなんだとしたら、あそこまで惚れこむ理由として充分だと思ったりも。
最終幕手前のナリスとの一幕は、ゆったりとした雰囲気のあるシーンで思わずホロリと来ました。
今度また、ヒエロソリマを越えようか?
4巻:尾のない蠍―遠征王と流浪の公子 (角川ビーンズ文庫)
歴史はあるがお金がない弱小国ボッサカリアの少年王に、後ろ盾めあてで求婚されてしまったパルメニア女王アイオリア。
だが訪問先で、いまや敵国ホークランドの将軍となったかつての夫、”蠍の”ミルザと再会して・・・・・・!?
「約束を覚えていますか? わたしのいとしいひと」
自分のために王位を捨てろというミルザ。さしのべられた手にあるのは、愛か憎悪か。
――遠征王、その治世最大の危機!
最終巻:運命よ、その血杯を仰げ―遠征王と隻腕の銀騎士 (角川ビーンズ文庫)
敵国ホークランドの地で、ミルザ将軍のもとに囚われてしまった女王アイオリア。
一方パルメニアでは、大公ゲルトルードの命をうけた銀騎士ナリスが主君奪還のために動き始めていた。
「・・・・・・わたしはただ、あなたを守る剣でいたかった」
「そんなふうにおまえに側にいてほしいわけじゃない!」
消えゆく命、ほどける糸、そして闇の中で見失い、光の中でふたたび手に入れるものとは?
――遠征王、その最後の遠征!
外伝:遠征王と秘密の花園 (角川ビーンズ文庫)
本編での寂しさを埋め合わせるかのようにゲルトルードが良いトコどり。
いや、これくらいのご褒美はあって良いと思いますw