極限推理コロシアム

極限推理コロシアム (講談社ノベルス)
作者:矢野龍王
 
「箱の中の天国と地獄」が、存外に面白かったので過去作品を購入。
冒頭を読んでの第一印象は「舞台を用意するのが得意な方なのかな?」でした。

【内容】

二つの館に強制的に集められた七人の「プレイヤー」たちに「主催者」は命じる。
 
今から起きる殺人事件の犯人を当てよ
 
もちろん、被害者もプレイヤーの中から選ばれる。
二つの館で起きる事件を、より早く解決しなければならないのだ。
 
不正解の代償は「死」!
そして・・・、もう一方の館に遅れをとっても「死」!
過酷きわまるデス・ゲームの幕が開く!

このルールの過酷さについて、補足しておくと・・・

  1. 2つの館に、それぞれ7人の「プレイヤー」が居ます
  2. 2つの館には、それぞれPCが有り、館同士の情報を交換することが出来ます
  3. 2つの館において、同時進行の連続殺人が起きます
  4. プレイヤーは自分の館の犯人のみならず、もう一方の犯人も当てなければなりません
  5. 答えるチャンスは、たった一回
  6. 推理が間違っていれば「死」です
  7. また。もう一方の館が、先に正解しても「死」です
  8. 最後に「犯人はプレイヤーの中に居ます」 

誰も信用出来ない状況が構築されています。
  

【感想】

ここまでゲーム性を追及した作品とは思ってませんでした。
 
そして何より、作者のリアルの深さに感動しましたよ♪
このゲームに生き残る為に自分なら取るであろう手段がいくつかあったんですが*1、全部読まれてましたね(笑)。
諦めの悪い自分としても、そこまで可能性を検証してくれるなら否やも何もありませぬ。
 
振り返ってみると、設定は荒唐無稽なんですが、既にそこにあるものを否定したって何も得られないし、始まらないので無問題。
劇的な演出なんだなと、違和感無く受け入れる事が出来ました。
 
肝心の謎解きの難易度は、やや低目。
但し・・・。
モット裏があるのかと勘繰るタイプの人間には、犯人を当てるのが難しいかもしれませんね。
 
全体として凄惨さはないので(解決編を含めて)やや淡白なきらいはありますが、それは読み易いと言い換える事も可能な要素なので瑕疵ではないと思います。
「完成度の高い作品を読んだなぁ」と言うのが、今の率直な気持ちです。

*1:情報を小出しにするとか、常に複数名で行動するとか