蟲師

バッテリーに引き続き、原作未読の状態で見てきました。
 

感想

余りに善人過ぎて、裏を勘繰りたくなるような虹郎が良かったです。
何事にも一線を引いているかのような、オダギリジョーのギンコもキライじゃないです。
蒼井優の探幽は、凛々しくて奥ゆかしくて思いっきり見とれました。
 
ただ如何せん、テンポが微妙だったかなぁ・・・。
ところどころ引っかかる台詞はあったけど、ストーリー自体はそんなに悪くないと思ったんですよ。
 
ざっくりとパート分けすると、

  1. 蟲師の役割を伝えるエピソード
  2. 主人公ギンコのキャラクターを掘り下げる幾つかのエピソード
  3. エンディング

で構成されていたのですが、その配分が偏ってた気が・・・。
 
最初のエピソードは良かったです。
この映画での蟲師の仕事が理解出来ましたし、一応のケリもつきました*1
喪失感漂うエンディングも、そこまでの道筋が納得のいくモノであれば泣けたと思います。
 
ネックはその道筋そのもので、明らかに渋滞気味でした。
なので。
ラストシーンが事故にしか見えなかったのが惜しかったなぁ、と*2
 

微分

原作は表紙と帯しか見てないので分からないのですが、これほど情念たっぷりの作品じゃない気がします。
(もうちょっと力を抜いた、しみじみと良い話なんじゃないの)
 
いや。
雨月物語を現代の感覚でリメイクするなら、あの演出(「あはれ」を強調する「能」みたいな見せ方)
で良かったと思います。
それこそ泥の中を這うような、ねっとりした解釈も無問題ですから。
 
けど、この作品ではどーなんでしょ?
個人的には「この精神性が原作特有のモノなら、映画化するほど売れないんじゃないか?」って疑念が沸いてきて、激しく違和感が・・・。
(これは穿ちすぎかな)
 
ただ、CM等見る限りでは海外からのオファーが結構来てるようですね。
思うに、この作品が海外で受ける理由って、その演出が能楽的(かつ「海外から見た日本」的)だからなんじゃないかと。
副次的な事柄ですが、吹替になるにせよ・字幕がつくにせよ、どっちをとっても台詞が聞き取り易く・理解し易くなるのは間違いないですし・・・orz。
 

結論

独特の映像も綺麗で、メインの役者は頑張ってました。
(文字を封じるシーンには、惚れ惚れしますよ♪)
 
なので。
無理にケリをつけようとしないで、連載第一回的に仕上げることは出来なかったのかなぁ。
探幽に惚れ込んだだけに、やるせないというか、やるかたないというか・・・。

*1:この手の話を積み上げていく方が無難だったと思います。けどそれならドラマにするんでしょうね。

*2:なにその異様なテンション?・・・!?