ウィザーズ・ブレイン(6)

ウィザーズ・ブレイン(6 〔中〕) 再会の天地 中 (電撃文庫) [ 三枝零一 ]
副題:再会の天地(中)
作者:三枝零一
挿絵:純珪一
 

内容

テロ組織”賢人会議”の参謀となってしまった真昼を説得するため、錬と月夜が奔走する。
そして。
シティの未来を占う公開討論会の日、ふたりは真昼に出会うのだが・・・。

「それで、錬はどう? 一緒にくる?」
226頁:真昼)

 

感想(ネタバレ注意)

上の問いに、結局答えを返せなかった錬。
大切なものに優先順位をつけるのは苦しいけれど、それを避けてちゃならねーのですな。
弟を困らせたくない真昼は、強いて答えを求めませんでしたが、代わりに問い詰める人物が居てました。

考えなければいけません。・・・・・・その間違いは、いつか、君の大切な誰かを不幸にします。
(274頁:アニル)

 
一見すれば残酷な予言でしかないけれど、これってば完全なる愛の鞭ですね。
真昼が伝えきれなかった分のフォロー。
即ち、もう一人の真昼がアニルってことなんでしょう。
 
もう一人の錬が居たり、もう一組の主役が居る世界に、新しく加わったもう一対。
この作品でのアニルの重要度が分かる台詞だと思いました。
 
前巻の感想に「犠牲のない世界を信じきるだけの勇気と、犠牲を受け入れるだけの覚悟の間に優劣なんてつけられませんて」と書いたのですが、今巻では3つ目の選択肢の可能性が示されました。
 
それがこれ。

「――だから、僕は、ここから世界を変えるよ」
(225頁:真昼)

 
いよいよ終わりが見えてきた感じで、終幕へと近付いていく予感がヒシヒシとします。
対比するように配置されたキャラクターが、ギリギリの局面でどう動くのか楽しみにしつつ、続きを待ちたいと思います*1
 

追記

挿絵が出色。
中でも終盤のクレアさんは反則。
基本、真昼・サクラ推しですが前巻までとはうって変わった姿に転びかけました。

*1:次の下巻を含め、6巻には登場しそうもない留守番組にもきっと役割があるはず。