エヴァリオットの剣

わが王に告ぐ―エヴァリオットの剣 (角川ビーンズ文庫)*1
副題:わが王に告ぐ
作者:高殿円
挿絵:椋本夏夜
 

内容

「わたくしのアルフォンス陛下が、男と――結婚!?
 そんなのぜったい認めませんわ。ぶっツブしてくれます!」
お妃候補(だったハズ)のじゃじゃ馬姫・アンナマリアが、真相究明のためにとったトンデモナイ行動とは?
 
わが王に申し上げます
・・・・・・至上の存在に、そう語りかけるものは誰か。
国王の結婚と、炎の宝剣エヴァリオットをめぐって、いま公私混同陰謀劇の幕が上がる!
(裏表紙より)

内容補足(目を瞠ったフレーズ)

(多少ネタバレします。退避〜)
性を持たなかった王・アルフォンスが女性化した事により、少女・アンナマリアは失恋してしまいます。
驚愕の事実を前に傷心の彼女に、かつて王の”影武者”も務めた少年が声を掛けます。

・・・・・・うまくいえないけどさ
 
あんたはアルフォンスが女になったら好きでなくなるのか?
(93頁)

勘の良い彼女は、即座に隠された真意を悟るのですが・・・・・・。
 

感想

よりにもよって男に、惚れた相手を盗られてしまった少女・アンナマリアの暴走が痛快です!
面子やしがらみに囚われ、身動きの取れない大人の男を相手どり、自分の正しさを信じ、思いのままに行動する姿。
歯痒い展開にやきもきする一読者にとって、まさに救いの女神です。
強引ではあっても傲慢とは無縁の彼女は、その素直さ故に辛い思いもするのですが、そこは夢見る少女向けレーベル!
アフターケアも万全で、読後感の良さは二重丸でした!!
 
遠征王を先に読んでいた事もあって、縁の名前が出る度、ニヤニヤ出来たのもポイントが高かったかな。
こういう仕掛けがあると、作品に覚える親近感が段違いですから。
 

そういえば

こういった、同じ世界の違う世代を取り上げる話って、結構好きな作品が多いかもしれません。
小説なら「風の歌・星の道」に「エフェラ・ジリオラ」、ゲームなら「FE 聖戦の系譜」とか。
祖先と子孫、親と子。
どちらか一方に覚えた愛着が、もう一方に加算されるこの手の演出が、きっと好きなんでしょう。
 

とりあえず

手元にある同じ世界を舞台とした作品・「バルビザンテの宝冠」を読み終えたら、この作品の前身的な「マグダミリアの三つの星」を読みたいです。
 

蛇足

にしてもだw
 
少女系レーベルの恋愛って、すごく逞しいのなっ
 
カップリングに由来するロマンスに至るまでのハードルの高さ、これは、少年系レーベルの比ではなく・・・。
むしろ。障害が積みあがった分だけ「その程度、乗り越えていらっしゃい」と挑発されるのですな。
そして、その葛藤、せめぎあいを愛でるのですな。
うわぁ、なんて業が深いんだ。



でもまぁ。
それがイイんですけど