霧の訪問者
*1
作者:田中芳樹
挿絵:垣野内成美
田中芳樹さんの文(とりわけこのシリーズ)には中毒性がありますね*2。
穏やかに過ごす為に、無意識に目を背けている出来事を、唐突に突きつけられるような感じがします。
それに共感するのか忌避するのかは、受け手次第なんですが最近の自分は「ちょっと勘弁な」って心境になります。
(振り返ってみるに)中高生の頃までは、徹底的な権力への揶揄は心地良かったです。
なので当時この作品を読んでいたなら、ニヤリとして拍手してたんじゃないかな。
ただ、今では「正直、ここまでコキ下ろす必要があるのかな」と、思ってしまいます。
(これが大人になったって事なのか・・・)
自分では変わっていないつもりでも、(厳然として)かつて礼賛していたものを素直に受け入れられない今があります。
自身の志向の変遷を再確認させられました。
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って、もう。
作者の毒に染まるのが嫌なものだから、自分を語って自己確認しちゃったじゃないか!
タマらんですよ、本当に。
ま。
それはそれとして、最後に今作の一推しシーンでも(^^;。
由紀子は苦笑した。苦笑でも、笑うと表情がやわらいで、美人度がアップする。
「おたがいにたいへんね」
(136頁)
とてもとても、ホッとするフレーズでした♪