アリフレロ―キス・神話・Good by

アリフレロ―キス・神話・Good by (集英社スーパーダッシュ文庫)*1
作者:中村九郎
挿絵:むらたたいち
 

内容

作品紹介→公式紹介頁
 

感想

この作品でネタバレする感想を書けたら大したモノだと・・・。
劇薬認定もむべなるかな。
人によっては全く駄目だと思いますが、個人的には「なんとなくOK」な作品でした。
多分に感覚的なストーリーで、書籍だから楽しめる内容だと思います。
上にあげた公式で紹介されている逸話にしたって、文字だから楽しいんだと。
 
なんせ迫り来る芯の情けなさったらネーですよ!
 
全てを絵にすると「あまりの不条理さに先に進めなくなる」はずなのに、比喩めいた非現実的な現実として描かれるとシュールなギャクになりますね。
 
基本的には悪夢のようなストーリー展開*2を見せるですが、時折正気にかえったかのようなシーンが飛び出してきます。
究極はラストシーンですが、注目は次のシーン。

おれは、貸し渋り(クレジットクランチ)・・・・・・
(216頁)

作品の真意を探るのに忙しく、ストーリーに集中していなかった読者をハッと惹きつける場面です。
なんでそういう場面に辿りついたのかは、正直良く分からないのですが、シーン単体で見るとベラボーに痺れます。
 

んでもって。

この作品が真に恐ろしいのは全体が上に挙げた構造の積層集合だって事ですね。
敵も・目的も・そして主人公の立ち居地すら、二転三転するのでトータルの印象は非常にあやふや。
 
なのに格好良いんですよ!?
 
自分でも何書いたか、あまり分からなくなってきたのでそろそろ〆ます。
 
これは・・・。
キスの神話にGood byする話であり
キスで神話*3にGood byする、破壊力のある作品です。
 
読まれる際には、プレーンな意識で・・・。
 

考察的

(にしても「警察コード 1234」でググると、某所のスレがトップにくるんですねw)

 
こういう素敵フレーズを使うってことはHIPHOP系の人なのかな?
ラップの歌詞みたいな場面展開のストーリーと、「大地をいただけ」ばりのインパクトのあるタイトル。
それも、その気質故だと思えば何か納得出来る気もします。
 

追記

作者へのインタビューを、まとめてらっしゃる方が。
http://d.hatena.ne.jp/megyumi/20070315/p1(SSMGの人の日記)
ものすごく便利です。

*1:集英社スーパーダッシュ文庫

*2:文字通りw。細かい辻褄は置いてけぼり。

*3:三井川

*4:原典がなかなか見つかりません